【2020年 法改正】悪質な書き込み犯を特定! 発信者情報開示請求の流れと手続き

2020.11.12

今、SNSなどのネット上における誹謗中傷が大きな社会問題となっています。発端となったのは、恋愛リアリティ番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラー・木村花さんの死でした。木村さんのSNSには毎日、膨大な数の誹謗中傷コメントが書き込まれていたそうです。この悲しい出来事をきっかけに、ネット上で悪質な投稿をした人物を特定する「発信者情報開示請求」が注目されるようになりました。投稿者を特定することで、安易な書き込みへの抑止力や被害者の救済につながると期待されています。今回は「発信者情報開示請求」の流れから具体的な手続きまで解説していきます。

 

増え続ける、匿名による悪質な投稿


Twitter、LINE、FacebookなどのSNSの普及により、誰でも気軽に情報発信ができるようになりました。しかし、その一方で匿名による悪意ある書き込みも増加しています。

法務省発表のデータによると、2019年のインターネット上の人権侵害報告に関する事件数は1,985件、これは直近10年間の中で2番目に多い数値です。

さらに注目したいのが、その内訳です。プライバシー侵害に関する事案が1,045件、名誉毀損に関する事案が517件となっており、このふたつ全体の合計だけで全体の80%近くを占めています。

 

(※1)参考資料:法務省 報道発表資料 平成31年及び令和元年における「人権侵犯事件」の状況について

 

▼ネット上で発生した悪質な中傷の事例

これまでも度々、芸能人のプライバシーに関する内容や、悪意あるコメントなどが話題になることがありました。しかし今は、有名人に対してだけではなく、個人や企業に向けた誹謗中傷が増加の一途をたどっています。

<悪質な誹謗中傷の例>
・転職口コミサイトに自社の労働環境や待遇について、根も葉もない噂を書かれた。
・動画投稿サイトのコメント欄で荒らし行為が行われた。
・Twitterに名誉を傷つけるような書き込みや個人情報を晒された。
・不動産口コミサイトで事実無根の悪評を書かれた。

しかも、これらの投稿の多くが、匿名や架空の人物を名乗って作られる「捨て垢(=捨てアカウントの略)」を使用したもので、加害者の特定は容易ではないのが現実です。

このような個人の尊厳や、人格を侵害する投稿、企業の信用やブランドイメージを損なうような投稿を放置しておくと、さらなる被害を招くことになります。
被害を少しでも食い止めるためには、悪質な投稿を早急に削除することが大切です。

では、具体的にどのようなアクションをとればいいのでしょうか?

 

悪質な投稿を見つけたら、まずやるべきこと


 

▼ 証拠を残す(証拠保全

・該当するページの内容とURL、日付が表示される状態で印刷しておく(PDFでも可)
・誹謗中傷発言に至る流れがわかるよう、全体の流れも記録しておく。

Twitterを例にあげると、誹謗中傷投稿にはそこに至るまでの発言者のツイートや、それに対する批判ツイートなど、一連の流れがあるはずです。何故この発言が名誉棄損となるかの根拠を示すためにも、全体の流れを残しておくことが大切です。

▼ 削除請求

サービスを運営するコンテンツプロバイダのお問い合わせフォームやメールを通じて、掲載情報の停止、削除依頼が可能です。しかし、削除依頼に応じてもらえない場合は、裁判所の法的手続を利用することになります。

 

▼ 情報開示請求を行う

① サイト管理者へ開示請求(利用されたプロバイダを特定)
② プロバイダへ開示請求(加害者の身元を特定)

削除請求も、もちろん有効ではありますが、一番大切なのは、再び同じような投稿を繰り返さないこと。そのためには「発信者情報開示請求」により、投稿者を特定し、謝罪および今後一切誹謗中傷を行わないときちんと約束させることが良策と言えるでしょう。

それでは、発信者情報開示請求について、詳しく見ていきましょう。

 

「発信者情報開示請求」とは?


インターネット上で個人や企業・団体などに対して誹謗中傷を行った人物を特定するための手続きを指します。プロバイダに対して、発信者情報(住所、氏名、メールアドレス、IPアドレス、投稿日時など)の開示を求めることができます。

具体的には下記情報の開示を求めることが可能です。

1 氏名
2 住所
3 電話番号
4 メールアドレス
5 IPアドレスとポート番号
6 インターネット接続サービス利用者識別符号(i-mode IDなど)
7 SIMカード識別番号
8 タイムスタンプ

2020年8月、この項目に電話番号が追加されました。

 

▼電話番号が開示されると何が変わるの?

これまで投稿者特定のために、最低2回の裁判が必要とされていました。しかし、コンテンツプロバイダから電話番号が開示されれば、弁護士会照会という調査手段で住所や氏名が判明するため、1回の裁判で済む可能性があります。これにより、解決までの時間が短縮され、被害者の精神的負担が軽減されることが期待されています。

その他にも、IPアドレスだけでは特定に至らなかったケースでも、特定に至ることがあるなど、多くのメリットが予想されます。

 

▼「発信者情報開示請求」を行うメリット

投稿者を特定することで、示談交渉など直接やり取りすることが可能になります。しかし、交渉に応じてもらえない場合は、投稿者に対する損害賠償請求あるいは刑事告訴などの法的措置をとることになります。

また、もう一つの利点として、投稿者を特定することにより、安易な投稿が繰り返されることがなくなり、誹謗中傷の再発を防ぐことができます。

 

発信者情報開示請求の方法


▼流れ

① サイト管理者に投稿に利用されたIPアドレス等の開示を求める
② 情報の開示(非開示の場合は法的手続を取る)
③ 開示されたIP情報からプロバイダを特定
④ プロバイダに対して該当するIPを利用した人物の契約者情報の開示を求める
⑤ 情報の開示(非開示の場合は法的手続を取る)

まとめると、サイト管理者から開示してもらったIPアドレスを元にプロバイダを特定。

そこから書き込んだ人物の住所と名前を開示してもらい個人を特定します。

 

▼期間

一般的に、仮処分申請を行ってから開示に至るまで、数か月から半年程度かかると言われています。

 

▼個人で開示請求をすることは可能?

もちろん、被害者が自分で「発信者情報開示請求」を行うことも可能です。しかし、前述したとおり、手順が複雑かつ法律の知識が必要であることや、裁判になるケースが多いことから、弁護士へ依頼することをおすすめします。

さらに、「発信者情報開示請求」の手続きの中で、もっともネックとなるのがプロバイダのログ保存期間です。多くが3か月程度と言われており、証拠が消えてしまう可能性があるのでスピード感をもって対応しなくてはいけません。

スピード感をもって対応するには、ITやネット被害の知識、経験が抱負な弁護士に任せることが賢明と言えるでしょう。「ネット中傷解決くん」には、ネット上の誹謗中傷や名誉棄損トラブルに強い弁護士が揃っているので、相談から解決までスピーディーかつ親身になってサポートします。

さいごに


ネットの書き込みでも、名誉毀損罪や侮辱罪に当たると判断されれば、刑事罰の対象になります。加害者にとってはストレス発散や単なる暇つぶし感覚かもしれませんが、被害者にとっては耐えられないほどの精神的苦痛が伴います。心無い誹謗中傷に屈することなく、しっかり立ち向かいましょう!

 

【引用元資料】
(※1)法務省 報道発表資料 平成31年及び令和元年における「人権侵犯事件」の状況について