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2021.03.15

現代はインターネット技術が発達し、誰でも気軽に情報を発信できるようになりました。普段関わることのないような人たちとSNSなどで出会い、交流できるのはとても意義のあることですが……。その一方で、インターネット上の誹謗中傷が社会問題化していることも事実。警察庁が発表した資料「平成30年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、同年のサイバー犯罪に関する相談は12万6815件。そのうち、名誉毀損・誹謗中傷に関する相談は1万1406件ありました。つまり、警察が相談を受けた事案だけで、1万人以上がインターネットで誹謗中傷の被害にあっているわけです。

では、こうした状況の中で、自分がインターネットで誹謗中傷の被害に遭ってしまったら、一体どうすればいいのでしょう。

まず、知っておいて欲しいのは、ネットの書き込みは適切な手順を踏めば削除できる可能性があるということです。この手続きは、プロバイダ責任制限法のガイドラインにも定められており、「削除依頼」あるいは「送信防止措置依頼」と呼ばれます。以下では、削除依頼を行うための要件や方法、流れなどを説明していきましょう。

 

書き込みを放置すると、どんな弊害がある?


SNSや各種掲示板にネガティブな書き込みをされると、それぞれのメディアの利用者が閲覧するだけでなく、書き込まれた内容がGoogleやYahoo!などの検索エンジンにも表示されてしまいます。加えて、書き込まれた内容はインターネット環境のある場所なら、いつ、どこからでも閲覧可能に。つまり、不特定多数の人に短時間で情報が伝わってしまうため、誹謗中傷を投稿されてしまうと、次のような悪影響が出る可能性が高くなります。

法人の場合】
・ブランドイメージの低下
・消費者や取引先へのイメージダウン(売り上げの損失)
・採用活動への悪影響
など

個人の場合】
・社会的信用の低下
・仕事への悪影響(社内外における評価の低下)
・精神的なダメージ
など

 

削除依頼って何?


ネガティブな書き込みを行った人に削除を求めようとしても、「誰が書き込んだのかわからない」というケースは数多くあります。また、仮に書き込んだ人がわかっていても、その人が素直に削除してくれるとも限りません。しかし、書き込んだ人がわからない場合でも、サイト管理者やサーバ会社(ホスティングプロバイダ)などに削除を求めることで、書き込みを削除できる可能性はあります。そして、その際に必要になるのが、「削除依頼」(あるいは「送信防止措置依頼」)と呼ばれる手続きです。

ただし、削除依頼によって対処できるのは、書き込みを削除することまで。書き込んだ人物を特定し、損害賠償請求などを行う場合には、別途「発信者情報開示請求」という手続きが必要です。

発信者情報開示請求に関する記事こちらから

 

削除できるのは、どのような書き込み?


削除依頼の対象となるのは、サイトの「利用規約」に違反している場合と、具体的な権利侵害がある場合です。下に、「権利侵害があると認められる可能性がある行為」の一例を示しておくので、参考にしてください。

 

権利

権利侵害があると認められる可能性がある行為

名誉権

社会的な信用・評価を下げるような書き込み。【例】○○は不倫している、○○は前科持ちだ など

プライバシー権

個人情報や私生活の情報を暴露する書き込み。
【例】本名や住所の公開、日常の秘密の公開 など※なお、会社などの法人にはプライバシー権が認められないのが一般的です。

肖像権

撮影や公開を許可していない写真や動画の公開。【例】隠し撮り写真の公開、無断撮影された写真の公開 など

 

 

削除依頼をするための具体的な方法は?


インターネット上で誹謗中傷やプライバシー権を侵害する書き込みが行われ、その書き込みに対して削除依頼を行う場合、主な対応パターンは次の3つとなります。

 

    1. お問い合わせフォームなどからの削除依頼

サイト上に掲載されているお問い合わせフォームやメールフォームなどから削除依頼をすることができます。

こうした削除依頼は、誹謗中傷を受けた本人でも行うことができますが、書き込みを削除するかどうかの最終的な判断は、サイトの管理者に委ねられています。そして、「どの投稿が問題なのか」だけでなく、「どういった権利が侵害されているのか」や「権利が侵害されたとする理由」「それによってどういった被害を被ったのか」などの根拠を具体的に伝えないと、依頼に応じてもらえない可能性もあります。それを考えると、お問い合わせフォームなどから削除依頼をする場合でも、弁護士に代理人として対応してもらうほうが得策といえます。法的根拠を示しながら削除依頼ができる分、問題解決の確度はもちろん、早期解決の可能性も高まるでしょう。費用の目安は、1〜10万円だとお考えください。

 

    1. テレコムサービス協会の書式による削除依頼

テレコムサービス協会とは、情報通信に関わるアクセスプロバイダ、ケーブルテレビ会社、回線事業者、コンテンツプロバイダ、ホスティングプロバイダなどの幅広い事業者が会員となっている一般社団法人です。活動の一つとして、プロバイダ責任制限法関係のガイドラインの作成・公表を行っており、そのガイドラインに従ってサイトの管理者やプロバイダに削除依頼(送信防止措置依頼)をする方法もあります。その際の手順は次の通りです。

①「侵害情報の通知書 兼 送信防止措置依頼書」という書類を作成し、本人確認書類とともにサイト管理者やホスティングプロバイダに郵送する

※必要な本人確認書類はサイトによって異なりますので、サイトを確認してください。一般的には、個人の場合は身分証の写し、法人の場合は印鑑証明書、登記現在事項証明書の提出を求められるケースが多いようです。

 

②受け取った側が、「本当に本人からの依頼か?」を確認した後、書き込みをした人物(発
信者)に対して書き込みの削除の可否を尋ねる

③7日間以内に反論がなければ、書き込みが削除される場合がある

なお、発信者から削除に同意しないという反論があった場合には、「利用規約違反があるかどうか」「権利侵害があるかどうか」をサイトの管理者やプロバイダが判断し、「ある」といえれば削除する、という扱いになっています。

 

    1. 裁判(仮処分)での削除命令

削除依頼をしても削除に応じてもらえないときには、削除仮処分という裁判手続きを検討するのも一つの方法です。仮処分というのは裁判の一種ですが、通常の裁判よりも迅速な手続きで行われ、裁判所が申し立てにおおむね間違いがないと判断した場合は、一定額の担保金を供託することを条件に申し立てが認められます。なお、担保金が用意できなければ、決定が発令されることはなく、供託した担保金は一定の手続きを行うことで返還されます。

通常の裁判の場合、数カ月から1年以上の時間がかかるケースが多いのですが、この手続きでは一応こちらの主張が確からしいとなれば申立てが認められるので、1〜2カ月で結論が出ます。そして、裁判所から「削除せよ」という仮処分決定が出れば、多くのサイト管理者やプロバイダは削除に応じてくれます。ただし、裁判手続きである以上、法律に基づいた主張やそれを裏付ける証拠の提出も必要となるため、誰でも簡単にできるというわけではありません。仮処分での対応を検討している場合は、まず弁護士に相談してみることをおすすめします。

 

削除仮処分までのおおまかな流れは?


削除の仮処分の申し立てが認められるには、次の2つの要件を満たす必要があります。

①インターネットの誹謗中傷によって、人格権(名誉権やプライバシー権など)や著作権に基づく権利侵害が起こっていること

②権利侵害が起こっていて、すぐにでも保全しないと権利の回復ができない状況にあること(すぐに消去させないと拡散の可能性があるなど)

では次に、手続きのおおまかな流れをご説明しましょう。削除の仮処分を申し立てるには、申立書を作成し、こちらの主張を裏付ける証拠とともに、管轄の裁判所に提出します。なお、削除に関する管轄は、相手方(債務者と呼びます)の住所地を管轄する地方裁判所か、自分・自社(債権者と呼びます)の住所を管轄する地方裁判所にあります。

申立書によって申し立てがなされると、裁判所で債権者と債務者の審尋が行われ、裁判官が相手方の言い分や証拠などを見ながら、申し立てを認めるかどうかを判断していきます。ここで債権者側の主張が認められれば、仮処分決定発令のために供託する担保金の金額を決定。債権者が担保金を支払ったことが確認できれば、裁判所から削除の仮処分命令が発令されます。

 

削除仮処分の申し立てにかかる期間と費用は?


仮処分での対応は法律の専門知識が求められるため、弁護士へ依頼するケースが一般的。ですので、以下では弁護士への依頼費用を含めた目安を紹介します。

  1. 期間の目安

実際に申立てを行って仮処分決定が出るまでの期間は、1〜2カ月が標準です。ただし、相手が海外法人の場合などには1~4カ月程度かかる場合もあります。

  1. 費用の目安

削除仮処分の申し立てには、裁判所の費用と担保金、弁護士への依頼費用などがかかります。金額は、裁判所の費用は印紙などの実費が5000円程度、担保金は30万円程度が必要です。弁護士への依頼費用は、弁護士によって、また量や対象によっても変わってくるためあくまで目安となりますが、25〜40万円程度とお考えください。

 

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Profile
清水陽平
法律事務所アルシエン代表
2007 年弁護士登録、2010 月11 月法律事務所アルシエンを開設。ネット中傷の削除、投稿者の特定、ネット炎上に関する案件の取扱いが多く、同分野の弁護士向け講師として招かれることも。総務省が主催する「発信者情報開示の在り方に関する研究会」の構成員となっており、著書に「サイト別 ネット中傷・炎上対応マニュアル」などがある

2021.02.08

インターネット上では、「匿名」で情報が公開されることも多いため、ネガティブな書き込みをされたときに、「発信者(書き込みをしている人物)がどこの誰なのか?」を知るのはとても困難です。しかし、だからといって発信者が特定できないままになれば、誹謗中傷を受けた被害者が、その責任を追求することができなくなってしまいます。

そのため、プロバイダ責任制限法では「発信者情報開示請求」という権利を定め、誹謗中傷の被害者に対して、加害者である発信者の特定を可能とする手段を規定しています。ここでは、発信者情報開示請求を行うための要件や方法、流れなどについて説明していきましょう。

 

発信者情報開示請求とは?


先に、「匿名」で発信された情報は、発信者を特定するのが難しいと書きましたが、それはユーザーの側から見た場合の話。サイト管理者やアクセスプロバイダ(インターネットへの接続サービスを提供している会社)の側には、発信者につながる情報が保管されています。そして、その情報を開示してもらえれば、発信者が誰なのかを特定できる可能性があります。このように、サイト管理者やアクセスプロバイダに対して、発信者情報の開示を請求することを「発信者情報開示請求」と呼び、その権利はプロバイダ責任制限法4条1項に規定されています。

なお、発信者情報開示請求は、発信者を特定する手続きであり、書き込みを削除するものではありません。「ネガティブな書き込みを削除したい」という場合は、別途「削除依頼」という手続きが必要になります。


削除依頼に関する記事はこちらから

 

発信者情報開示請求できるのは、どのような書き込み?


発信者情報開示請求の対象となるのは、権利侵害が明らかな場合です。下に、「権利侵害が明らかであると認められる場合」の一例を示しておくので、参考にしてください。

 

権利

権利侵害が明らかであると認められる例

名誉権

社会的な信用・評価を下げるような書き込みがなされ、なおかつ、その書き込みが下記の3つを疑わせる事情がないこと。

①公共の利害に関する事実に関わること
②もっぱら公益を図る目的であること
③書き込まれた事実が真実であること

プライバシー権

個人情報や私生活の情報を暴露する書き込みがなされ、なおかつ、その書き込みが下記の2つを疑わせる事情がないこと。

①私生活上の事実であること
②公開を正当化される事情がないこと

※なお、会社などの法人には、プライバシー権が認められないのが一般的です。

肖像権

撮影や公開を許可していない写真や動画が公開され、なおかつ、その公開が下記の2つを疑わせる事情がないこと。

①私生活上の事実であること
②公開を正当化される事情がないこと

発信者情報開示請求の手続きの流れは?


発信者情報開示請求の手続きをする際は、少なくとも、1.サイト管理者への情報開示請求、 2.アクセスプロバイダへの情報開示請求という2段階の手順を踏むことになります。

「最初からアクセスプロバイダに情報開示請求をしたほうが、話が早いのではないか?」と思われるかもしれませんが、インターネットの仕組み上、これは難しいといわざるをえません。たとえば、ある掲示板に誹謗中傷が書かれた場合、掲示板に書き込みをした人物(発信者)は、発信者が契約しているアクセスプロバイダに接続し、次に、掲示板が契約しているプロバイダに接続することで、掲示板への書き込みが可能となります。

アクセスプロバイダは通常、契約者の氏名や住所を把握していますが、掲示板に書き込んだ発信者がどのアクセスプロバイダと契約しているかは、ほかのユーザーにはわかりません。したがって、まずは掲示板のサイト管理者に対して発信者の情報(IPアドレスなど)を開示してもらう必要があります。結果として、まずはサイト管理者への情報開示請求、次にアクセスプロバイダへの情報開示請求という手順が必要となるのです。

 

    1. サイト管理者に対して発信者情報開示請求を行う

前述の通り、最初に書き込みがあったサイトの管理者に、発信者の情報を開示してもらいます。ただし、サイト管理者が持っているのは、サーバにアクセスされた履歴やサイトを利用する際に登録したメールアドレス、パスワードだけなので、ここではサーバにアクセスされた履歴、つまりIPアドレスやタイムスタンプ(データを作成、更新した日時を証明するもの)などの情報の開示を求めることになります。

情報開示の請求方法には、裁判を使わない方法と裁判を使う方法があり、裁判を使わない方法では、一般的にテレコムサービス協会の「発信者情報開示請求書」という書式が使われます。この場合、書類をサイト管理者に送ることで開示請求がスタートします。

発信者情報開示請求書を受け取ったサイト管理者は、発信者に発信者情報開示請求書が届いたことを連絡し、開示に同意するか否かを2週間以内に聞き取らなくてはなりません。そして、発信者が同意すれば情報を開示、同意しなければ情報を開示しないとなります。

一方、裁判を使う方法では、仮処分という手続きを使います。仮処分というのは裁判の一種ですが、通常の裁判よりも迅速な手続きで行われ、裁判所が申し立てにおおむね間違いがないと判断した場合は、一定額の担保金を供託することを条件に申し立てが認められます(担保金が用意できなければ、決定が発令されることはなく、供託した担保金は一定の手続きを行うことで返還されます)。

通常の裁判の場合、数カ月から1年以上の時間がかかるケースが多いのですが、この手続きでは、一応こちらの主張が確からしいとなれば申立てが認められるので、1〜2カ月で結論が出るのが特徴です。

仮処分申立書を受け取ったサイト管理者は、発信者情報開示請求書と同様に、発信者に連絡を取り、開示に同意するか否かを2週間以内に聞き取らなくてはなりません。そして、発信者が同意すれば情報を開示、同意しなければ情報を開示しないとなります。しかしながら、裁判所から「仮に開示せよ」という仮処分決定が出れば、発信者の同意が得られなくても、多くのサイト管理者は開示に応じてくれます。

なお、発信者情報開示請求仮処分は、原則としてサイト管理者の所在地を管轄する地方裁判所のみが管轄裁判所となります。ただし、Twitter、Facebook、Googleなどに対して発信者情報開示請求を行う場合、相手方となるのは海外法人であるため(日本法人は日本におけるプロモーションを行っているだけで、サービスの提供主体は海外法人だからです)、最高裁判所規則により東京地方裁判所が管轄裁判所となります。

仮処分の申し立てが認められるには、次の2つの要件を満たす必要があります。

①インターネットの誹謗中傷によって、人格権(名誉権やプライバシー権など)や著作権に基づく権利侵害が明らかであること

②権利侵害が明らかであり、すぐにでも保全しないと権利の回復ができない状況にあること(すぐに消去させないと拡散の可能性があるなど)

 

    1. アクセスプロバイダに対して発信者情報開示請求を行う

サイト管理者からIPアドレスなどの情報開示を受けると、アクセスプロバイダが特定できるため、次はアクセスプロバイダに対して情報の開示を求めます。アクセスプロバイダには、IPアドレスと結びついた契約者情報が保管されているため、ここで情報が開示されれば、匿名だった発信者の身元が明らかになるわけです。

ただし、アクセスプロバイダによっては、発信者情報開示請求の審議状況に関係なく、一定期間が経過するとログ(データ通信の履歴や情報の記録)を削除してしまうところもあります。そのため、この段階ではアクセスプロバイダに審議の結果が出るまでログを保存しておくように請求する必要があります。なお、アクセスプロバイダがログを保存している期間は、おおむね3~6カ月程度と考えてください。

ログの保存請求に関しては、多くのアクセスプロバイダが裁判を経なくても応じてくれるため、アクセスプロバイダに保存してもらいたい情報を指定し、そのログを保存するよう依頼するという流れが一般的です。書類の書式は任意でかまいません。

ログの保存ができた後は、発信者の情報開示請求を行います。情報開示請求の方法は、サイト管理者への開示請求と同様、裁判を使わない方法と裁判を使う方法があり、裁判を使わない方法では、テレコムサービス協会の「発信者情報開示請求書」を用います。ただし、発信者に関する情報は個人情報にあたり、また通信の秘密に関するものでもあるため、この書式で請求しても、アクセスプロバイダが情報の開示に応じることはまずありません。そのため、アクセスプロバイダにプロバイダ契約者の情報を開示してもらう場合は、裁判所に発信者情報開示請求訴訟を行うケースがほとんどです。

ちなみに、アクセスプロバイダに対する開示請求が、仮処分ではなく通常の訴訟になるのは、ログ保全により投稿者の情報保全ができる以上、急いで開示を認める必要がないとみなされるからです。なお、この裁判の管轄は、原則としてアクセスプロバイダの所在地を管轄する地方裁判所のみとなります。

以上が、発信者情報開示請求のおおまかな流れとなりますが、下にここまでをまとめた図も掲載しておきますので、ぜひ参考にしてください。

 

発信者情報開示請求に必要なものは?


発信者情報開示請求をする場合は、どこにどのような書き込みがあるのかを示す必要があります。そのためには、問題の書き込みがされているサイトの保存が不可欠。もし、書き込みが消されてしまうと、内容の確認ができなくなるため開示請求が認められなくなってしまうからです。次の2点に注意しながら、証拠を保存しておくようにしましょう。

①問題のサイトのURLがスクリーンショット(キャプチャ)画像などから明確にわかること

②問題の書き込みがスクリーンショット(キャプチャ)画像などからきちんと確認できること

保存の方法は、PCで印刷するほか、スクリーンショット(キャプチャ)でも問題ありません。スクリーンショットの場合は、Windowsのパソコンであれば、Alt+PrtScr(Print Screenと表示されていることもあります)。Macであれば、Command+Shift+3で保存できるので、いずれの場合もURLが明確に表示されているようにしてください。スマートフォンにもスクリーンショット機能があるものが多いですが、スマートフォンのスクリーンショットではURLがうまく表示されない場合もあるので、注意しましょう。

 

発信者情報開示請求は自分でやれる?


発信者情報の開示請求を自分で行うことは可能です。ただ前述した通り、アクセスプロバイダが任意で情報を開示してくれることはほとんどなく、開示請求には裁判での対応が必要になります(サイト管理者が任意の開示請求に応じないこともよくあります)。また、アクセスプロバイダが保管しているログの保存期間は3~6カ月程度であるため、書き込みから時間が経ちすぎると、特定が難しくなってしまいます。

以上のことから、法律の専門知識がある弁護士に依頼して、できるだけスピーディに進めるのが得策でしょう。

 

発信者情報開示請求訴訟には、どのくらいの期間と費用がかかる?


裁判所に訴状を提出すると、訴状審査というものが行われますが、通常はこれに3〜7日かかります。訴状審査を通ると、被告(発信者)に対して訴状の送達が行われ、その時点から約1カ月後に第一回目の裁判が開かれます。その後は約1カ月ごとに裁判が開かれ、合計2〜3回行われるケースが一般的です。

費用は、弁護士によって、また量や対象によっても変わってくるためあくまで目安となりますが、25万〜40万円とお考えください。

 

発信者を特定できた後の法的手段は?


書き込みを行った人物を特定するのは「責任を追求するため」なので(中には、特定自体を目的とするケースもありますが)、発信者情報の開示を受けた後は、法的措置によって問題の解決を目指していきます。責任追及の方法は、大きくわけて2つ。民事責任の追及と刑事責任の追及です。

    1. 民事責任の追及

損害賠償(慰謝料)の請求などがこれにあたります。損害賠償を請求する方法としては、内容証明郵便などによる裁判外の手続きと、損害賠償訴訟という裁判上の手続きがあります。

内容証明郵便とは、誰が、誰宛に、いつ、どのような形で手紙を出したのかを、日本郵便株式会社が公的に証明してくれる郵便のことで、記録が明確に残るため、何かを請求する際によく使われます。ただし、それ自体に強制力はなく、送っても無視される可能性があります。

請求を無視された場合は、相手方に対して、名誉毀損、プライバシー侵害などによる損害賠償請求訴訟を提起することになりますが、内容証明郵便は使わず、はじめから訴訟提起をしても問題ありません。訴訟を提起した後は、加害者が損害賠償の支払いに素直に応じれば示談、応じない場合は裁判を通じての請求になるでしょう。

賠償額は、おおむね100万円が上限という印象です。なお、相手の特定にかかった費用には、全額とは限らないものの相手の負担にできる場合も。たとえば、弁護士に依頼して発信者情報開示請求を行った場合、その弁護士費用が損害として認められます。とはいえ、相手が裁判で反論してくるケースもあれば、相手の金銭的な事情で払われないこともありますので、「必ず賠償してもらえるわけではない」ということも覚えておいてください。

    1. 刑事責任の追及

書き込んだ人物に刑事罰を与えるため、名誉毀損罪などで立件してもらうことを指します。刑事責任を追及するのは国の仕事であるため、この場合は警察や検察に告訴状、被害届などを提出することになります。

刑事告訴をした場合、警察が自宅の捜索や取り調べといった捜査を行い、検察が起訴するかどうかを判断しますが、前科前歴がない限りは、よくて略式起訴、多くのケースでは起訴猶予(犯罪が成立しているだろうといえるものの諸般の事情を考慮して起訴をしないという判断)となることが多いでしょう。とはいえ、あくまで起訴が「猶予されているだけ」なので、同じ過ちを犯さないための抑止力にはなるはずです。

 

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Profile
清水陽平
法律事務所アルシエン代表
2007 年弁護士登録、2010 月11 月法律事務所アルシエンを開設。ネット中傷の削除、投稿者の特定、ネット炎上に関する案件の取扱いが多く、同分野の弁護士向け講師として招かれることも。総務省が主催する「発信者情報開示の在り方に関する研究会」の構成員となっており、著書に「サイト別 ネット中傷・炎上対応マニュアル」などがある。

 

2020.11.11

2019年11月、K-POPグループ『KARA』の元メンバーで歌手のク・ハラさんが自宅で亡くなっているのが発見されました。元交際相手からのリベンジポルノに悩んでいたとの報道もあり、リベンジポルノの怖さが再認識されるきっかけになりました。周りに知られたくないという女性の心理につけ込み、最悪の場合、被害者を自殺にまで追い込むリベンジポルノ。もし被害に合ってしまった場合、どのように対応していけばよいのか解説していきます。

 

リベンジポルノとは


元交際相手や元配偶者が別れた腹いせとして、相手のわいせつな写真や動画を無断でインターネット上に公開する行為を指します。リベンジポルノという言葉が一般的になったのは2013年に起きた三鷹ストーカー殺人事件。ニュース・ワイドショーでも連日報道されていたことが記憶に新しいかと思います。この事件が社会問題化したことから翌年11月、リベンジポルノ防止法(※正式名称「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律案」)が成立しました。

リベンジポルノによる被害は、年々増加しています。2019年に警察庁に寄せられた相談件数は、1479件と過去最多を更新(※1参照)。中でも女性からの相談が9割を占めます。年代別で見ると10代~20代が過半数を占める結果に。ここで注目すべきなのが被害者と加害者の関係です。


(※1) 参考資料:警視庁 令和元年におけるストーカー事案及び 配偶者からの暴力事案等への対応状況について

 

一番多いのは交際相手(元交際相手を含む)からの被害でしたが、友人・知人によるものも約2割を占めています。

IPAが13 歳以上の男女を対象に行った調査(※2参照)によると、面識のある友人・知人に自分の性的画像を送ったことのある割合が10代~20代で約1割、さらにSNS 上だけの知り合いに共有する傾向は 10代女子、20代男子で多くみられました。

これらの背景には、SNS(Facebook、Twitter、Instagramなど)の普及があります。若い世代を中心に、私的な画像のやり取りや、ネット上にアップロードすることへの抵抗が少なくなったことが関係していると思われます。


(※2) 参考資料:IPA(独立行政法人情報処理推進機構)情報セキュリティの倫理と脅威に対する意識調査 2019年度版

 

リベンジポルノの目的とは?


リベンジポルノには、大きく分けて2つあります。
いくつか事例とともに見ていきましょう。

パターン1

別れた配偶者や交際相手にふられた腹いせとして、リベンジ(復讐)するケース。写真や動画をネタに復縁を迫るなど、脅迫行為に発展することもあります。

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鳥取県に住む男性Aは、元交際相手の女性に「写真ばらまき後悔させてやる」などと連絡。その後Twitterに、被害者裸の写真を10回にわたり投稿した罪で懲役2年6月、執行猶予4年(求刑懲役3年)の判決を受けました。犯行の理由として「女性に復縁を求めるメールを送ったが、返事がなかったので恨んだ」と供述しています。
(※3)【引用:「リベンジポルノ」39歳男に有罪判決 ネット使用で初 – 産経ニュース】

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パターン2

さらに悪質なのが最初から販売することを目的とするケース。SNSなどで知り合った女性の猥褻な画像を販売し利益をえるというものです。

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2019年、出会い系アプリで知り合った女性とのわいせつ動画を同意なしで撮影し、販売していた男が逮捕されました。容疑者はインターネット上の動画サイトにわいせつ動画を約200本投稿。マニアの間で人気を博し、約6年間で8800万円を荒稼ぎし、30人以上の女性が被害を受けたとされています。
(※4)【引用: 女性のわいせつ動画公開疑い、30歳男逮捕 兵庫県警 – 産経ニュース】

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◆リベンジポルノの被害に合わないために

 

どちらの例も加害者の身勝手な理由によるもので、誰にでも降りかかる可能性があります。リベンジポルノの被害に合わない為に、何よりも有効な回避策・解決策は性的な画像を“撮影させない”“送らない”こと。「裸の写真撮らせて」、「エッチな動画送って」と言われたら、相手が誰であっても「嫌だ」ときっぱり断る姿勢が大切です。相手が同意なく撮影を始めた場合も同様です。

また恋愛や夫婦関係にある場合は、別れ際の対応にも注意が必要です。最近はLINEなどで一方的に「別れよう」と言って関係を断つことが多いようですが、それでは相手が納得しません。お互い別れた後も気持ちよく前に進むために、きちんと話し合うこと。そしてお互いにとってマイナスとなる写真や動画はその場で削除すること。後々のトラブルに発展しないよう別れ際こそ誠実に、が鉄則です。

しかし、スムーズに関係を清算できないケースも多々あります。そのような場合どうすればよいのでしょうか。リベンジポルノのリスクや対処方法についても見ていきます。

リベンジポルノの怖さ


 

◆ 消したくでも消せない“デジタルタトゥー”

カップルであれば愛の証として、またはその場の雰囲気に流されて撮影してしまうこともめずらしくありません。しかし、軽い気持ちで撮影した写真や動画が、後々自分の人生をおびやかすことになるのがリベンジポルノの怖さです。

一度インターネット上にアップされると瞬く間に広がり、永久に残り続ける“デジタルタトゥー”。画像を見た人がそれを自分のPCに保存、または別のサイトにアップするなど、自分の知らないところでどんどん広まっていきます。ひどい例になると海外のサーバーにアップされ簡単に削除できないことも。

「学校や職場で噂になったら」「将来子どもに見られたら」

被害者は自分の性的映像を「誰かがこれを見るかもしれない」という恐怖の中で過ごすことになります。常に誰かが自分の噂話をしているのでは?と疑心暗鬼になり学校や会社に行けなくなる例も報告されています。

 

◆   精神的ダメージから心身のバランスを崩すことも

リベンジポルノが被害者にとって大きな精神的ダメージを与える理由の一つとして、元恋人や配偶者、友人など一度は信頼した人によるものだということ。信頼していた人から裏切られたという事実は心に大きなダメージを与えます。

さらに深刻なのが、リベンジポルノの二次被害として、被害者が責められるケース。「そんな写真を撮らせた方が悪い」「自己責任だ」という心ない言葉をかける人もいます。冒頭で触れたク・ハラさんもネット中傷などで心を病み最悪のケースを引き起こしました。

被害者に多大な精神的苦痛を与え続けるリベンジポルノ。しかしながら法律によって加害者に与えられる刑は、たった「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」でしかありません。しかも、ほとんどが執行猶予付きの判決というのが現状です。

被害者が受けた心の傷の大きさとは、比べ物にならないと言えるでしょう。

リベンジポルノにあったら


リベンジポルノは画像・動画が流出する前と後では、状況が大きく異なります。流出前であれば、加害者はそのネタを元に復縁を迫る、または金銭を要求してくるケースが後を絶ちません。これはれっきとした脅迫罪にあたりますので警察に相談しましょう。

流出後であれば、これ以上被害が大きくならないよう早急に画像・動画を削除することが必要です。サイトの運営会社や無料のセーフラインに削除依頼をかけることも可能ですが、一旦削除されたとしても、相手の手元にまだ画像が残っていた場合、再びアップされる危険性があります。さらに最悪な例として、知らぬ間に他サイトに転載されていようものなら個人では手の施しようがありません。

そこで心に留めておいてほしいことが、

◆   決して、一人で抱え込まないこと

SNSやインターネットで画像が公開された場合、はずかしい、誰にも知られたくないという心理から自分一人で何とかしようと思いがちです。誰にも言い出せず泣き寝入りしてしまうケースや、金銭を要求されるなど泥沼にはまってしまうことも少なくありません。そのような事態になる前に、誰か信頼できる人に相談することが必要です。しかし、身近な人であればあるほど、相談しにくいという心理が働くのも事実です。では、誰に相談すればいいのでしょうか。

 

◆   信頼して任せることができる相談相手=弁護士を見つけること

リベンジポルノは、相手から別れを言い出された、または交際を断られたことを逆恨みした犯行です。加害者は相手に精神的ダメージや社会的打撃を与えることを目的としています。ただでさえ自分に悪意をもっている加害者相手に一人で闘うのは大変危険な行為と言えるでしょう。
警察や専門の団体に相談することも有効ではありますが、スピード感や根本的な解決という点においては弁護士に相談するのも一つの案です。弁護士であれば、画像・動画の公開・拡散を防ぐ為の加害者交渉から、訴訟などの法的手続きまで全て任せることができるので安心です。

しかし、弁護士と言ってもそれぞれ専門分野があり、リベンジポルノやネットの誹謗中傷に無知な弁護士だと適切なアドバイスを受けることができない場合も。経歴や資格だけ見て決めるのではなく、ちゃんと専門分野や人柄を見て選ぶことが重要です。例えば、
「ネット中傷解決くん」など、SNSやインターネット上のトラブル解決に強い弁護士が揃っているサービスを上手く活用して、早期対応&スピード解決できる体制を整えることが大切です。

さいごに


リベンジポルノで一番辛い思いをしているのは、被害者。相手を訴えるためとは言え、第三者に被害状況を事細かく伝えることは、想像以上に辛いものです。だからこそ被害者に寄り添い、一緒に解決へと導いてくれる存在が必要なのです。

「ネット中傷解決くん」には、被害者の絶対的な味方となり、共に戦ってくれるいわばパートナー的存在の弁護士が集結しています。悩みを克服し、一日でも早く笑顔を取り戻していただくことが私たちの願い。リベンジポルノの被害でお困りの方は、どうか一人で悩まずにご相談ください。

 

【引用元資料】
※1警視庁 令和元年におけるストーカー事案及び 配偶者からの暴力事案等への対応状況について

※2IPA(独立行政法人情報処理推進機構)情報セキュリティの倫理と脅威に対する意識調査 2019年度版

※3産経ニュース

※4産経ニュース